公的医療保険制度の基礎知識|民間医療保険を検討する前に

2017年9月21日
社会保障
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社会保障制度の1つ、公的医療保険についてどのような保障があるのかご存じでしょうか?

日本では「国民皆保険制度」のもと私たちは既に公的医療保険に加入しています。
公的医療保険には会社員などが加入する「健康保険」と、自営業者などが加入する「国民健康保険」に分かれており、保障内容に違いがあります。

今回は公的医療保険について「そもそもどんな制度なのか」「どのような時に役立つのか」など、お伝えします。
まずは、この公的医療保険について知っていただき、その上で不足額を補うために民間医療保険への加入を検討してみてください。

1.公的医療保険の種類

1-1.公的医療保険は大きく5種類

公的医療保険制度の体系は主に5種類あります。

保険者 対象者
組合健康保険 大企業などが単独で設立し、自社の労働者およびその労働者に扶養されている人が対象。
全国健康保険協会
(以下、協会けんぽ)
中小企業などの労働者およびその労働者に扶養されている人が対象。
国民健康保険 自営業者や無職の人などが対象。
共済組合 公務員が対象。
後期高齢者医療制度 原則75歳以上が対象。

組合健康保険には、高額療養費の上限や休業補償の割合が他の制度より高くなるなど、その企業の独自の制度がありますので、組合健康保険に加入している人は確認しておきましょう。

なお、一般的に「健康保険」というと、企業の労働者が加入している公的医療保険(組合健康保険と協会けんぽ)を意味します。

今回は協会けんぽと国民健康保険について説明いたします。

1-2.協会けんぽと国民健康保険の比較

協会けんぽでは、医療費が基本1~3割負担(※)になるだけではなく、病気やケガ、出産で会社を休んだときには給付金があります。
一方で国民健康保険には、病気やケガ、出産で会社を休んでも給付金はありません。

このように協会けんぽと国民健康保険を比較すると、協会けんぽの方が私たちにとって嬉しい仕組みになっています。

※年齢によって異なります。

夫が働いていて、妻が専業主婦の場合の比較は下表のようになります。

協会けんぽ
(夫:サラリーマン)
国民健康保険
(夫:自営業者)
療養の給付
(医療費が3割負担になる)
夫婦とも、プライベートでの病気やケガの場合に3割負担になります。(夫が業務上の病気やケガをした場合は、労災保険になります) 夫婦とも、業務上外を問わず、3割負担になります。
高額療養費
(医療費が高額になったとき)
療養の給付を受けても、ひと月あたりの医療費が高額になってしまった場合に、自己負担限度額を超えた分が、あとで払い戻されます。(詳細は後述)
出産育児一時金
(子どもが生まれたとき)
1児につき約40万円が支給されます。
(協会けんぽ:39~42万円、国民健康保険:35~42万円)
出産手当金
(出産で欠勤したとき)
妻が専業主婦で被扶養者の場合は支給されませんが、もし妻が会社員で協会けんぽの被保険者の場合には、出産前後の約98日間にわたり日給の3分の2程度が支給されます。 支給されません。
傷病手当金
(病気やケガで欠勤したとき)
被保険者である夫がプライベートの病気やケガのために仕事を4日連続欠勤した場合に4日目から日給の約3分の2が支給されます。(詳細は後述) 支給されません。
埋葬費
(葬儀を行ったとき)
夫(業務外の事由)または妻が亡くなった場合に5万円が支給されます。 夫(業務上外問わず)または妻が亡くなった場合に5万円が支給されます。
月々の保険料 被保険者である夫と会社が折半で負担します。ただし、任意継続被保険者の場合、夫が全額負担しなければなりません。尚、被扶養者である妻の分の保険料は無料です。 夫と妻の二人分の保険料が必要を全額負担しなければなりません。(被扶養者という概念がありません)
退職後は? 3つの選択肢から選ぶことができます。
①健康保険任意継続
②国民健康保険
③健康保険に加入している人の被扶養者になる
そのまま国民健康保険に加入するか、健康保険に加入している人の被扶養者になることができます。

2.公的医療保険の中でも特に頼れる制度

2-1.高額療養費制度

もしも医療費総額が100万円だった場合、たとえ3割自己負担であっても30万円かかってしまいます。
そんな時に役立つのが高額療養費制度です。

高額療養費制度は、毎月1日から末日までの1ヶ月間にかかった療養の給付が適用できる医療費(初診料や検査代、入院料や薬代など)のうち、自己負担限度額を超えた分をあとで払い戻してくれる制度です。

協会けんぽの高額療養費制度の区分(70歳未満)は下表のように決められており、たとえば「区分:ウ」の人が医療費総額100万円の治療等を受けた場合、「80,100円+(100万円-267,000円)×1%」となり、実質の負担額は87,430円ですみます。

国民健康保険の上限額は年齢や所得、市区町村により異なるため、詳しく知りたい場合は住所地の役場へご確認ください。

【自己負担限度額:70歳未満の方】

適用区分(年収目安) ひと月の上限額
【ア】年収約1,160万円~
(標準報酬月額83万円~)
(報酬月額81万円~)
252,600円+(医療費-842,000)×1%
【イ】年収約770~約1,160万円
(標準報酬月額53~79万円)
(報酬月額51.5~81万円)
167,400円+(医療費-558,000)×1%
【ウ】年収約370~約770万円
(標準報酬月額28~50万円)
(報酬月額27~51.5万円)
80,100円+(医療費-267,000)×1%
【エ】~年収約370万円
(標準報酬月額26万円以下)
(報酬月額~27万円)
57,600円
【オ】低所得者
住民税非課税者
35,400円

高額療養費制度は一旦、病院窓口で自己負担分(1~3割)を支払らわなければいけません。

もし事前に医療費が高くなると分かっている場合には、「限度額適用認定申請書」を協会けんぽ(国民健康保険の場合は市区町村)に申請しておくことで、病院窓口での支払いが自動的に限度額までに調整されます。

2-2.傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者である会社員本人が病気やケガで会社を休み、有給などを利用せず十分な給料をもらえない場合に支給されます。
下記条件を全て満たしている場合に、最長1年6ヶ月間、支給を受けることができます。

【支給条件】
①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
労災保険の対象となるもの(業務上や通勤時の災害によるもの)や病気とみなされないもの(美容整形手術など)は支給対象外となります。

②就業不能であること
医師の意見や被保険者の仕事内容を考慮して判断されます。

③4日以上休んでいること
傷病手当金は、会社を4日連続欠勤した場合に4日目から日給(※)の約3分の2を最長で1年6ヶ月受け取れる制度です。

※日給とは
傷病手当金を受け取り始める前の12ヶ月間の各標準報酬月額の平均を30で割った額
12ヶ月未満の場合は、支給開始日の月よりも前の継続した各月の標準報酬月額のへ金額、または28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)のどちらか少ない方の金額を使用して算出されます。

④休業中に給与の支払いがないこと
休業中に給与が支払われている場合には、支給対象外となります。
ただし、支払われている給与が傷病手当金の支給額よりも少ない場合には、その差額金が支給されます。

3.医療費が発生した際の実質負担額

たとえば、公的医療保険に加入している標準報酬月額36万円の人が下記【条件】で入院した場合の協会けんぽと国民健康保険を比べてみましょう。

【条件】
A:療養の給付が適用できる医療費(10割)が704,200円
B:入院時の食事代や差額ベッド代等の全額自己負担分が35,496円
C:仕事を(土日等もともと休日だった分を除き)14日間休んだ

仮に国民健康保険の高額療養費制度が協会けんぽの区分ウと同等だった場合、傷病手当金が支給される協会けんぽでは実質負担額が31,968円ですが、傷病手当金制度のない国民健康保険では119,968円も負担しなければいけません。

協会けんぽ 国民健康保険
【A】高額療養費制度 自己負担限度額
84,472円
自己負担限度額
84,472円
※市区町村などにより異なるが、例として協会けんぽと同じとする。
【B】自己負担 35,496円 35,496円
【C】傷病手当金 88,000円が支給される
14日-3日=11日
360,000円÷30日×2/3=8,000円
8,000円×11日=88,000円
支給無し
【実質負担額】 31,968円
A(84,472円)+B(35,496円)-C(88,000円)
119,968円
A(84,472円)+B(35,496円)

4.まとめ

日本の公的医療保険は、ほとんどの病気やケガに対応でき、基本的に医療費の自己負担額が1~3割になります。
さらに、高額療養費制度を利用することでもっと負担が減り、協会けんぽに加入している場合には一定の条件のもと手当金まで支給されます。

それでも足りない分について「貯蓄で備えるのか」「民間の医療保険で補うのか」を考えてみてはいかがでしょうか。

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