社長必見!!誰も知らない逓増定期保険の最強の活用方法

2015年7月27日
法人保険
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法人において多く活用されている「逓増定期保険」について徹底的に解説を行います。

 1. 逓増定期保険とは

逓増定期保険とは、法人において「課税の繰延」を行う際に多く用いられる生命保険商品です。「課税の繰延」に活用する保険ですから、利益が上がっている法人が対象となります。さらには保険の対象としては社長や役員といった経営幹部を対象にするケースがほとんどです。

そもそも法人で生命保険を活用することで「節税」をすることは出来ません。保険を契約して保険料を支払った場合、税務上のルールに従って保険料の一定割合を損金として計上します。ここで損金が計上出来るので、利益が減少し税金が安くなります。この部分だけを見れば確かに「節税」が出来たと思われるかも知れません。

ところが途中で保険を途中で解約した場合や、保険金を受け取った場合には、過去に支払った保険料のうち損金にならずに資産として計上している部分と差し引きをした金額が「益金」として計上する必要があります。

たとえば支払保険料の総額が100で、半分の50が損金・50が資産として計上されている生命保険を解約した場合に90が解約金として戻って来るとします。この戻ってくる90から資産計上50を差し引いた40が解約に伴う「益金」として計上します。

この益金を何もせずに残ってしまいますと、40に対して法人税などが課税されますので注意が必要です。このように生命保険は、課税される時期を先送りするだけなので「節税」にはならないことをまずはご理解下さい。

あくまでも利益を先送りするための保険であり、保障を確保するために逓増定期保険を使うケースはかなり少ないので、従業員を対象にした福利厚生ではなく、決算対策などを目的として社長以下役員を保険の対象にするのが一般的です。

2. どんな仕組みの保険か

逓増定期保険は、死亡・高度障害保険金が加入時の最大5倍にまで逓増していく生命保険です。保険期間経過に応じて保険金額が増えても支払保険料額に変動はありません。そのために途中で解約した場合には多くの返戻金があるのが特徴です。

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2-1. 逓増定期保険の特徴

この保険は、何と言っても「保険料が高い事」と「途中解約時の返戻金が多い事」が特徴として挙げられます。前述の通り、保障を確保するためではなく「決算対策」に使われるケースが多いので、一般的な生命保険とは違い保険料の高い安いではなく、途中解約時に支払保険料に対していくらの解約金が受け取れるのか?が最大のポイントとなります。

2-2. 逓増定期保険の目的

逓増定期保険の活用は、法人において「損金を発生させながら積立を行う」の一言に尽きると言えます。

保険料を支払う事によって、保険料の全額から1/4までの間で損金に計上する事が出来ます。これにより利益を圧縮する効果が得られます。次に途中解約時には、多額の解約返戻金を受け取る事が出来ますので、役員退職金の積立などに活用されるケースが多くあります。

2-3. 個人での活用について

法人で活用されるケースが多い逓増定期保険ですが、一部保険会社においては個人でも契約する事が可能です。個人で逓増定期保険を活用するケースは、主に相続対策を目的として活用されています。

例えば、「契約者=父・被保険者=息子・保険金受取人=父」で逓増定期保険に契約をしたとします。保険料払込期間中に契約者である父が死亡した場合、この逓増定期保険が相続財産として相続人に引き継がれます。この契約を引き継ぐ際、保険契約の財産評価は「解約返戻金相当額」になりますので、解約返戻金が低い時期に相続が発生すると財産評価が圧縮出来る効果が得られます。この効果を狙って個人で契約するケースもあります。

2-4. 法人での経理処理について

法人で契約した際に支払う保険料については、契約年齢と保険期間によって全額損金から1/2損金・1/3損金・1/4損金に区分されます。

詳しくは下記図表を参照してください。

  区分 前払期間 資産
計上額






1.保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの(2又は3に該当するものを除く。)  保険期間の開始の時から当該保険期間の60%に相当する期間  支払保険料の2分の1に相当する金額
2.保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの(3に該当するものを除く。)  同上  支払保険料の3分の2に相当する金額
3.保険期間満了の時における被保険者の年齢が80歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるもの  同上  支払保険料の4分の3に相当する金額

※保険期間が45歳満了以下のものについては支払保険料が全額損金に計上する事が出来ます。

2-5. 加入に際しての手続き等

加入時には一般の生命保険と同様に、健康診断が必要になります。

保険会社や契約する保険金額によっては人間ドックや健康診断結果表を提出する事で健康診断の代用にする事が可能な場合もあります。なお健康状態が良くないときには保険金額が一定期間において削減されたり、保険料が割増になるケースがあります。

この逓増定期保険の場合、割増になる保険料部分にも解約返戻金があるケースが一般的なので、割増保険料が付加された方が解約時の返戻率(払込保険料に対する解約返戻金の割合)が高くなるケースもありますので、一概に割増保険料が付くから損をするとは限りません。

※割増保険料が付加されますと、契約後の手続きに一定の制限が発生しますのでご注意下さい。

2-6. 加入後の活用方法

逓増定期保険を契約した後に、いろいろな手続きによってこの保険を活用する事が出来ます。

積立されている解約返戻金を原資にして、一定割合について「契約者貸付」として融資を受ける事が出来ます。保険会社によって融資が受けられる解約返戻金に対する割合や適用金利は異なります。なお契約者貸付制度がない保険会社の逓増定期保険もありますので、注意が必要です。

次に保険料の払込を停止して保障を確保する払済処理があります。これは、払済処理を行う時点での解約返戻金を原資にして、終身保険または定期保険などに変更して以後の保険料を支払うことなく保障を確保する制度です。

この払済処理において注意すべき点が2点あります。払済保険に変更することにより保険料負担は不要になりますが、逓増定期保険の保険金額からは大幅に減額されますので、保障が減ってしまう点は注意が必要です。

次に法人契約において払済保険へ変更する場合には経理処理が必要です。法人における逓増定期保険について払済処理の規定は法人税基本通達9−3−7(2)にて定められています。

■法人税基本通達9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)

法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9-3-7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。(平14年課法2-1「二十一」により追加)

(注)

1 養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。

2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、9-3-4から9-3-6までの例により処理するものとする。

3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 

この経理処理をうまく活用しますと、例えば赤字になる決算期において逓増定期保険を払済処理して益金計上し赤字を埋めます。

益金計上した金額はそのまま資産計上となりますが、以後の保障を保険料負担することなく確保することが出来ますので、法人においてはメリットがあります。

なお注3の規定にありますように、一部保険会社によっては払済保険に変更後、一定期間内であれば元の逓増定期保険に復旧することも出来ますので、復旧をすれば払済時に益金計上した額が損金に計上することも可能になります。

活用法の最後に、保険料の払込を止めて「失効」させる手法を説明します。「失効」とはその名の通り保険の効力を失うことを言います。保険料払込を期日までに行わないと、保険としての効力を失います。

この状態になりますと保障は無くなり、契約者貸付や払済といった活用法も使うことが出来なくなります。ですが、失効は法人において逓増定期保険を活用する際には必ず知っておくべき活用法の一つです。

逓増定期保険は前述の通り、「課税の繰延」に活用する保険ですが、解約返戻率のピークが比較的早くに来ます。そのために当初は「5年後のピーク時に退職をして退職金に充当させよう」という様にピーク時点で取り崩して益金計上する事を予定しているケースが多くあります。

ところが経営環境の変化により、予定通り取り崩せないケースも多くあります。その際に保険料を支払わずに失効をさせる事で、保険契約をそのまま置いておく事が可能になります。

契約が失効した時点では経理処理は不要とされていますが、失効した契約を復活させる事が出来る期間を経過した際には、払済処理時と同様に解約返戻金と資産計上されている額との差額を益金として計上する必要があるとされていますので、この点には注意が必要です。

2-7. 契約者変更について

法人にて契約していた逓増定期保険を個人に契約者を変更する活用法が注目を集めています。

法人で保険料を数年間支払い、個人に契約者を変更します。変更する際には、変更時点での解約返戻金相当額で個人が買い取る形になります。その後個人にて数回保険料を支払い、解約返戻金が増えた時点で解約(または払済)にする事で個人へ資金をシフトする事を目的に行われています。

この活用法については、税務上のリスクが非常に高いので検討をされる場合には、顧問税理士並びに本プランを熟知した保険営業パーソンとしっかり相談をして検討して下さい。

個人においても法人と同様に契約者を変更するプランが考えられます。個人においては、契約者変更を行った時点では課税関係は発生しません。

<国税庁ホームページより>

相続税法は、保険事故が発生した場合において、保険金受取人が保険料を負担していないときは、保険料の負担者から保険金等を相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなす旨規定しており、保険料を負担していない保険契約者の地位は相続税等の課税上は特に財産的に意義のあるものとは考えておらず、契約者が保険料を負担している場合であっても契約者が死亡しない限り課税関係は生じないものとしています。

したがって、契約者の変更があってもその変更に対して贈与税が課せられることはありません。ただし、その契約者たる地位に基づいて保険契約を解約し、解約返戻金を取得した場合には、保険契約者はその解約返戻金相当額を保険料負担者から贈与により取得したものとみなされて贈与税が課税されます。

 3. 保険のメリット

逓増定期保険のメリットは、途中解約時に支払保険料に対して解約返戻金が多く戻ってくる事にあります。

現在(平成27年7月時点)において、逓増定期保険を契約した場合には前述の通り、一定のルールに則って損金計上を行う事が可能です。支払保険料の一部または全額を損金に計上しながら、多くの解約返戻金が受け取れるために短期間において課税の繰延を行うには最適な保険商品と言えるでしょう。

4. 保険のデメリット

逓増定期保険のデメリットは、保険金額に対する保険料が高くなる点です。

1億円の保障を確保するコストとしては、年齢や性別によっては異なりますが掛捨ての定期保険であれば年間保険料は数十万円で済みますが、逓増定期保険であれば数百万円から1千万円を超える保険会社の逓増定期保険もあります。

ですが、逓増定期保険の場合は保障を確保する目的ではなくて課税の繰延を目的としているケースが多い訳ですから、保険金額に対する保険料ではなく支払保険料に対する解約返戻金がどの程度あるのか?が検討のポイントになります。

逓増定期保険を活用する場合においては、必要保障額を別の生命保険で確保した上で逓増定期保険を検討される事をオススメいたします。

5. 注意するポイント

逓増定期保険を活用する場合には、保障額と出口には要注意です。

保障額につきましては、保険のデメリットにも書きました様に、保険としての保障額が幾ら必要になるか?を別の保険でまずは確保しておく必要があります。

何度も書いていますが、逓増定期保険は課税の繰延を目的として活用されるケースが多くあります。そのために途中で解約する事を前提としていますし、経営状況によっては予定よりも早くに取り崩す可能性があります。

逓増定期保険を必要保障額に組み込んでしまった場合には、取り崩してしまいますと保障額を確保できなくなる可能性があります。

生命保険としての本来機能である死亡保障がある逓増定期保険ではありますが、保障の観点においては逓増定期保険以外で必要保障額を確保する事を忘れないでください。

 

次に出口です。生命保険における出口とは、保険金を受取る場合や保険を解約する場合などの「保険が終了する時点」の事を指します。

保険金を受取る場合は、被保険者の死亡という事態になっていますので、お金は幾らあっても良いですが途中解約時には注意が必要です。

法人で契約している逓増定期保険を途中解約した場合には、解約返戻金から今まで計上してきた資産額を差し引いた差額を益金(または損金)として会計処理を行う必要があります。

法人にて計上される益金に対して何も対策をしなければそのまま課税対象となりますので、入口(保険契約時)に必ず出口の対策は検討しておかなければなりません。

6. 法人逓増定期に関する経理処理について

今まで文章にて説明をしてきました法人逓増定期に関連する経理処理について、仕訳にて説明を行います。

■ 保険料支払時

支払保険料100の場合

 

<支払保険料が全額損金処理の場合>

借方 貸方
支払保険料 100 現金・預金 100

 

<支払保険料が1/2損金処理の場合>

借方 貸方
支払保険料  50

前払保険料  50

現金・預金 100

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

 

<支払保険料が1/3損金処理の場合>

借方 貸方
支払保険料  34

前払保険料  66

現金・預金 100

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

<支払保険料が1/4損金処理の場合>

借方 貸方
支払保険料  25

前払保険料  75

現金・預金 100

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

■ 保険解約時
払込保険料総額100 解約返戻金90の場合

<支払保険料が全額損金処理の場合>

借方 貸方
現金・預金  90 雑収入   90

<支払保険料が1/2損金処理の場合>

借方 貸方
現金・預金  90 前払保険料 50

雑収入   40

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

<支払保険料が1/3損金処理の場合>

借方 貸方
現金・預金  90 前払保険料 66

雑収入   24

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

 

<支払保険料が1/4損金処理の場合>

借方 貸方
現金・預金  90 前払保険料 75

雑収入   15

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

■ 払済処理時
払込保険料総額100 解約返戻金90の場合

<支払保険料が全額損金処理の場合>

借方 貸方
保険積立金  90 雑収入   90

<支払保険料が1/2損金処理の場合>

借方 貸方
保険積立金  90 前払保険料 50

雑収入   40

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

 

<支払保険料が1/3損金処理の場合>

借方 貸方
保険積立金  90 前払保険料 66

雑収入   24

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

 

<支払保険料が1/4損金処理の場合>

借方 貸方
保険積立金  90 前払保険料 75

雑収入   15

※前払保険料は保険積立金で処理をするケースもあります。

まとめ

逓増定期保険は、法人において上手に活用すると非常に効果が大きい生命保険商品の一つです。ただし活用する場合においては無理な保険料支出は経営悪化の要因となりますので、支払保険料のバランスはしっかりと見ておく必要があります。

あと逓増定期保険は節税ではなく「課税の繰延」でしかありませんので、出口での対処法はしっかりと考えておく必要がありますし、途中の経営環境変化に対応が柔軟に出来る保険会社の商品を検討する必要があります。

逓増定期保険のご利用は「計画的」に!

著者


奥田雅也(NPO法人全日本保険FP協会 副理事長)

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