知っておくべき!逓増定期保険の仕訳処理をおさえよう

2016年5月1日
法人保険
Pocket

逓増定期保険 仕訳

逓増定期保険は法人において、役員や従業員に対する保障が得られるというメリットと同時に、支払保険料の一部または全額が「損金」になるという税法上のメリットもあります。
また満期保険金がなく、保険期間が終了するまでに、保険金額が契約時の保険金額の5倍になるという特徴があります。

そんなメリットがある逓増定期保険ですが、加入するにあたり、多くの方は支払保険料の経理処理が気になっているのではないでしょうか?
実際にはどのように経理処理するのか、気をつけるポイントは何なのかを確認しましょう。

1.逓増定期保険の支払保険料の経理処理ルールについて

逓増定期保険の支払保険料の経理処理ルールは国税庁通達で以下の様に定められています。
なお以下のルールは平成20年2月28日以降に契約した逓増定期保険に適用され、それ以前に契約した逓増定期保険は経理処理ルールが異なりますので注意が必要です。

区分 前払期間 資産計上額
1:保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの(2又は3に該当するものを除く。) 保険期間の開始の時から当該保険期間の60%に相当する期間 支払保険料の2分の1に相当する金額
2:保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの(3に該当するものを除く。) 支払保険料の3分の2に相当する金額
3:保険期間満了の時における被保険者の年齢が80歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるもの 支払保険料の4分の3に相当する金額

この表では非常に分かりにくいので、分かりやすい表現に変更すると以下の表になります。

損金計上額 保険満了年齢 計算式
1/4損金 80歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>120
1/3損金 70歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>95
1/2損金 45歳超 上記計算式に該当しないもの
全額損金 45歳以下 計算式に関係なく満期年齢が45歳以下は全額損金

なお満了年齢と計算式の両方に該当した場合にのみ1/3損金・1/4損金の処理となります。
両方に該当しない場合には、契約満了年齢が45歳以下であれば全額損金、45歳超であれば1/2損金となりますので注意が必要です。

参考までに平成20年2月28日以前に契約した逓増定期保険の支払保険料経理処理ルールは以下になります。

損金計上額 保険満了年齢 計算式
1/4損金 80歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>120
1/3損金 70歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>105
1/2損金 60歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>90
全額損金 契約時年齢+(保険期間×2)≦90

2.逓増定期保険の支払保険料の仕訳について

次に実際に逓増定期の保険料として10,000円を法人が支払った場合の仕訳について確認をしてみましょう。

<全額損金時>

(借方) (貸方)
支払保険料 10,000円 現金・預金 10,000円

<1/2損金時>

(借方) (貸方)
支払保険料 5,000円
前払保険料 5,000円
現金・預金 10,000円

<1/3損金時>

(借方) (貸方)
支払保険料 3,334円
前払保険料 6,666円
現金・預金 10,000円

<1/4損金時>

(借方) (貸方)
支払保険料 3,334円
前払保険料 6,666円
現金・預金 10,000円

全額損金計上以外の経理処理を行う場合は、前述の通り保険期間の60%相当期間について上記処理を行うことになります。
一般的な逓増定期保険の場合、60%相当期間中に保険契約を解約することが多いですが、仮に保険金の60%相当期間が経過した後の経理処理についても確認をしておきます。

保険期間の60%相当期間が経過した後は、支払保険料の全額を損金計上し、積み立てている前払保険料を残り40%相当期間で取り崩すことになりますので、残存保険期間で按分した金額を毎年損金に計上することとなります。

3.逓増定期保険の解約時の仕訳について

法人で契約している逓増定期保険を解約した際は、解約返戻金からその時点で積み立てられている前払保険料を差し引いた金額を益金(または損金)に計上することになります。
例)解約返戻金100万円 前払保険料80万円の場合

(借方) (貸方)
現金・預金 1,000,000円 前払保険料 800,000円
雑収入   200,000円

例)解約返戻金50万円 前払保険料80万円の場合

(借方) (貸方)
現金・預金 500,000円
雑損失   300,000円
前払保険料 800,000円

4.逓増定期保険を払済保険に変更した場合の仕訳について

4-1.払済保険に変更した場合の仕訳について

法人にて契約している逓増定期保険を払済保険に変更した場合の経理処理について確認をしてみましょう。
この処理を行った場合の経理処理ルールは法人税基本通達9-3-7(2)に定められています。

法人税基本9-3-7の2
法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9-3-7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(省略)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない 。

(注)

  1. 養老保険、終身保険及び年金保険(省略)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
  2. 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、9-3-4から9-3-6までの例により処理するものとする。
  3. 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する事業年度の益金の額に算入する。

上記通達では、解約返戻金と資産計上との差額を益金または損金に計上して全額を資産計上にするとしています。
具体的な例で確認をしてみましょう。

例)解約返戻金100万円 前払保険料80万円の場合

(借方) (貸方)
保険積立金 1,000,000円 前払保険料 800,000円
雑収入   200,000円

例)解約返戻金50万円 前払保険料80万円の場合

(借方) (貸方)
保険積立金 500,000円
雑損失   300,000円
前払保険料 800,000円

4-2.払済契約を復旧した場合の仕訳について

払済した逓増定期保険を元の逓増定期保険に復旧した場合の経理処理ルールは先ほどご紹介をした法人税基本通達9-3-7(2)の3項に規定されています。

具体的な例は以下の通りです。

例)解約返戻金100万円 前払保険料80万円の契約を払済後に復旧した場合

(借方) (貸方)
前払保険料 800,000円
雑損失   200,000円
保険積立金 1,000,000円

例)解約返戻金50万円 前払保険料80万円の契約を払済後に復旧した場合

(借方) (貸方)
前払保険料 800,000円 保険積立金 500,000円
雑収入   300,000円

5.逓増定期保険が失効した場合の経理処理

業績悪化や資金繰り悪化等により、逓増定期保険の保険料が支払えなくなった場合、保険料払込期日までに保険料が支払えないと、保険の効力を失う「失効」という状態になります。
この失効は、保険の効力はない状態ですが、まだ解約にはなっていないので、保険会社が定める期日までに所定の手続きを行い、保険会社の承認が得られれば保険の効力が元通りに「復活」します。

この失効状態になった場合、逓増定期保険の経理処理はどうすれば良いのでしょうか?

法人が契約した保険契約が失効した場合について、明確な経理処理ルールはありません。
一般的には、保険契約を復活させることが出来る期間中は、特に経理処理は不要で、復活可能期間が終了して、保険契約の効力が戻せないことが確定した時点で解約と同じ処理(解約金が払われていない場合には未収入金処理)で良いと言われています。

ただし明確な経理処理ルールがありませんので、実際に経理処理を行う場合には、顧問税理士ならびに所轄税務署へかならず確認を行って下さい。

6.まとめ

逓増定期保険に関する経理処理についてまとめてみました。
少しややこしい経理処理もありますので、必ず顧問税理士や所轄税務署へ確認をしてから処理を行ってください。

Pocket

法人保険で節税したいなら【保険の知りたい!】で無料相談!

法人保険で節税をしようと思っても、本当に効果がある保険を選ぶのは難しいですよね。
自社の売上げや社員数などを考えながら、数多い保険商品の中からベストなものを選択することは、確かに簡単ではありません。

そこで「保険の知りたい!」がオススメする専門家による無料相談をぜひご活用ください。
法人保険専門のFP&税理士がしっかりとお話を伺い、最適なプランをご提案いたします。

詳しくはこちら

POPULAR POSTS- 人気記事 -

LATEST POSTS- 新着記事 -

RELATED SITES- 関連サイト -