必見!多くの人が勘違いしている役員退職金の正しい知識

2015年9月28日
法人保険
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法人において役員退職金を生命保険にて準備をするケースが多くあります。

ですが、多くの税理士ならびに保険営業パーソンが間違えている「役員退職金」についてのポイントがあります。ここでは間違えやすい役員退職金のポイントについて解説いたします。

⒈役員退職金とは

そもそも退職金とは、

『本質的には賃金の後払いであり、終身雇用制を基調とした日本においては永年勤続を奨励する意味もあり広く行き渡っている制度であるが、法定された制度ではなく、退職金制度を設けなくても違法ではない。最近は退職金制度を導入していない、もしくは退職金制度を廃止した企業が増加傾向にある。(Wikipediaより抜粋)』

という性格の手当金です。法人の役員の場合には、長年経営に従事した功労に対して役員退職金を支給するケースが多くあります。

ポイントは、「退職金は法律に定められたもの」ではなく法人において任意に支給出来るという点にあります。もちろん支払える原資がなければ退職金の支給は出来ない訳ですから、特に高額になる役員退職金については事前準備が必要であり、この準備に生命保険が活用されるケースが多く見受けられます。

2.役員退職金の支給は自由に決めて良い?

役員退職金は、法人に支払余力があれば幾ら支給しても構いません。そもそも法律で定められた制度ではないので、役員退職金は自由に決めて良いという事をご存知ない方が多くいらっしゃいます。

一般的には社員に対する退職金は、在職中の給与の追加払いという性格から福利厚生的な意味があります。終身雇用制を前提としたこの制度は、その崩壊と共に意味を失っている様にも思えます。退職金より毎月の給与が多い方が良いですから・・・。

これに対し役員退職金の意味合いは全く違います。経営者は退職出来ません。しかも法人の借金について保証人になり、自宅を担保に入れています。あるいは、会社に個人預金を貸し付け、逆に会社からお金を借りていたりします。これらをクリアーにしなければならないために、役員退職金をいくら支払うかは非常に重要な問題になります。

あと、誤解をしている原因の一つに、法人における「役員退職金の損金算入」という問題があります。これは法人から役員に支給する役員退職金について、一定の範囲内であれば、法人における損金にして良いという規定が法人税法上には存在しています。

法人税法34条(役員給与の損金不算入)

内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与、以下省略)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2項

内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない

法人税法上では、「不相当に高額な部分の金額」については役員退職給与についても損金算入出来ません、と規定しています。ですから、幾ら役員退職金を支給しても構わないのですが、法人税を計算する際においては、損金に出来る金額が決まっているというだけの話です。

では役員に対する退職金は幾ら支払えば良いのでしょうか?結論を申し上げますと、法人で払える金額の中で「社長が必要なだけ(欲しいだけ)」「社長の家族が必要なだけ(欲しいだけ)」支払えば良い事になります。

役員の生存退職は、勇退後のセカンドステージを豊かに過ごして頂くのに必要な資金を役員退職金として取れば良いですし、ご不幸にも若くして亡くなられた場合に支給する死亡退職金は「遺族保障」という観点もありますから、残されたご家族が困らないだけの死亡退職金を支給すれば良いのです。

生存退職並びに死亡退職のどちらにも対応出来るという点で生命保険を活用した退職金積立が非常に有効なこともご理解頂けるのではないでしょうか?

役員退職金の損金算入額は?

よく一般的に役員退職金の支給額を計算する式として以下の算式が使われます。

最終役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率

この計算式で算出した金額であれば、支給する役員退職金が損金として認められるとされています。ですが、「最終役員報酬」「役員在任年数」「功績倍率」はどのように決めれば良いのでしょうか?

ちなみに、法人税法施行令70条2項には以下の規定があります。

第七十条(過大な役員給与の額)
法人税法第三十四条第二項 (役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。

2項
内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額

この規定と上記計算式の関係はどのように考えれば良いのでしょうか?

法人税法の基本は、「課税の公平」にあります。では、役員退職金の損金算入限度額の「課税の公平」とは何でしょうか?それは、世間常識にあるという考え方、同業他社との比準です。そして、その根本に流れるのはその役員のその法人に対する「功績」です。

「業務に従事した期間」、これが長ければ長いほど、当然功績は大きくなります。損金算入限度額計算の際の「在任年数」がこれに当たります。

「その退職の事情」とは、一般的には「死亡退職」か「勇退退職」かの違いについて考えます。この違いは、業務上の死亡かそれ以外か、そこに法人税法上の「弔慰金」という考え方が出て来ます。会社の事情によって亡くなった場合、当然会社の責任が加算されるべきでしょうし、それ以外の場合の「弔慰金」は香典程度の金額になります。

「同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等」とは、何でしょうか?

・同一事業
・同一規模
・同一地域

この3要素によって、同業他社の退職金支給状況の情報を、税務当局は収集します。業種(事業)によっても、規模によっても、地域によっても退職金額は違います。ですから、この同業他社の情報収集は事業が違っても、税務当局は負ける可能性がありますから、慎重にならざるを得ません。

収集する情報は、役員報酬、退職金支給額、在任年数です。功績倍率はここから計算します。始めからあるわけではありません。計算の基礎となる役員報酬は、同業他社と比較し高すぎないか?を調べます。その上で

退職金額÷(役員報酬×在任年数)=功績倍率

これが同業他社と比較し、高すぎないか?を比較検討します。

しかし、ここである疑問が出てきます。例えばA社とB社の2つの会社があったとします。A社は社長が在任中は利益を出し続け、会社の含み資産形成が膨大になっています。B社は赤字続き、債務超過になっています。つまり、2社の貢献度が違います。ですが役員報酬も在任年数も同一であったら、退職金の損金算入限度額は同じでしょうか?

最終役員報酬月額とは?

文字通り、退職直前に支給していた月額の役員報酬額が「最終役員報酬月額」になります。先ほどの算式で計算する場合には、各項目の掛け算になりますから各項目の数値が大きくなればなるほど、損金に計上出来る退職金額が増えることになります。ですので、退職する直前に最終役員報酬を増やした場合はどうでしょうか?

これは明らかに「意図的に退職金額」を増やすために行われたとして、損金計算上では認められないと思われます。逆に退職直前に、急激に業績が悪化したために役員報酬を減額もしくはゼロにした場合、退職金損金の計算はどうなるのでしょうか?

例えば過去に最終役員報酬月額が争われた事例があります。納税者の主張は「○○○○の貢献度を考えると、政策的に増額してこなかった本件最終報酬月額は低額であり、特別な場合に該当する。」に対して、国税不服審判所は「最終報酬月額は、一般に役員としての在任期間における最高水準を示すとともに、法人に対する功績を最もよく反映するものであると考えられることから、本件最終報酬月額を採用することは合理的である。」としている。(平成22年4月6日、国税不服審判所は、平成20年10月27日に出された「法人税の更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分」について裁決した。)

この文章においては、最終役員報酬は過去最高水準であろう、という前提で答えています。つまり、退職直前の役員報酬額ではなく、過去最高の役員報酬で損金算入限度額を計算して良いとしています。この意味も含めて考えますと、「最終役員報酬」という表現をある意味では適切ではありません。「過去の役員報酬月額の最高額」と「その役員報酬月額は何ヶ月続いたのか?(経常性の確認)」がポイントになるでしょう。ちなみに、経常性とは3〜4年の継続的支払いで、かつその役員報酬を支払っても利益のある決算であるとされています。

なお前述の業績が悪化した企業の場合は、業績悪化が証明出来る決算資料等を持って所轄税務署にて相談をすれば業績悪化前の役員報酬額を基準にして、役員退職金の損金算入限度額の計算が認められる場合があります。この様な特別な事情がある場合には、所轄税務署と打ち合わせされる事をお勧めします。

役員在任年数とは?

文字通り、法人の役員として在任していた年数になります。この年数は商業登記簿謄本を見ればわかりますので、非常にわかりやすいですが、まれにあるケースとして、「個人事業主として法人設立前から営業をしていた」場合や、「役員としての登記はしていないが、実質的には経営に携わっていた役員と同等である」というケースの場合、どのように考えれば良いのでしょうか?

個人事業時代も事業主として、経営を行っていた事が証明出来る資料などがあれば、役員在任年数を個人事業時代も含めて計算する事が認められるケースもあります。

次に役員として登記はしていないものの、経営に関与していた「役員同格」の場合にも、経営に関与していた事実が確認出来る資料などがあれば、役員としての在任年数に含める事が出来ます。ただしこの場合、支給した給与や賞与が「役員」として認定を受けると損金算入が認められなくなるケースもありますので、注意が必要です。

なお前掲の国税不服審判所の裁決は、役員退職金をめぐって役員報酬、在任年数、功績倍率、この全3要素が争点となった事例です。役員登記をしていない役員、これを「みなし役員」といいますが、どちらかと言うと税務上否認をするために出来た取扱いです。役員に対する賞与は損金不算入になるのですが、「みなし役員」に対する賞与も損金不算入です。

では、「みなし役員」とは、「経営に参画している者」となり、この対象は社長の配偶者が典型的な例とされます。

「審判所は、『当審判所に提出した陳述書には、設立時から、従業員の労務管理、監督官庁等の折衝、管工事等の指名願い、取引先との交渉のほか、代表者に代わっての対外折衝、事務所及び工場の移転や組織変更などの請求人の重要事項の決定に大きく関与していた旨の具体的かつ詳細な内容の記載があり、その内容は主要な部分で答述と一致する。取締役就任以前の使用人時代において株式会社の取締役時代と同様に請求人の経営に従事していたものと推認される。』とし、みなし役員であったと認定する。」

これだけの立証を顧問税理士に出来るか、悩みますね。それほど「みなし役員の在任年数」は難しい点です。

功績倍率

役員退職金の損金参入限度額を計算する上で、一番やっかいなのはこの「功績倍率」という考え方です。一般的には「社長3倍・専務2倍・取締役1倍」が目安などと言われていますが、結論から申し上げますと「社長3倍・専務2倍・取締役1倍」には何の根拠もありません。

前述の法人税法施行令にあります通り、『業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額』とありますから、同業他社での支給実績から最終役員報酬月額と在任年数で割りますと、功績倍率が逆算出来ます。これの平均値を目安にして、損金参入額が「高いか?低いか?」を検討しますから、目安の倍率よりも高くても認められるケースもあれば、目安の倍率より低くても認められないケースがありますので注意が必要です。

なお前掲審判について、国税不服審判所は次の様にいっています。

1.平均功績倍率方式

その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に関する統計数値が利用可能な場合には、当該統計から算出された功績倍率の平均値を用いる平均功績倍率方式が法人税法施行令702項の規定の趣旨に合致するというべきであり、この方式は、功績倍率を平均化することにより、類似法人間に存在する差異や個々の特殊性を捨象することができるから、適正に算出された平均功績倍率を用いる限り客観的かつ合理的な方法であると解される。

2.最高功績倍率方式

左に対し、功績倍率の最高値を用いるいわゆる最高功績倍率方式は、例えば同業類似法人の抽出が不十分であり平均値を採用し難い特別な事情がある場合などに限って、その採用を考慮するのが相当であると解される。」

残念ながら納税者側は、同業他社の退職金支給のデータを手に入れることは出来ません。ですから正確な功績倍率はわかりようがありません。

役員退職金の損金算入限度額についての整理

今まで説明をしてきました役員退職金の損金算入限度額について、改めて整理をします。

計算式は「役員報酬×在任年数×功績倍率=損金算入限度額」です。

この役員報酬とは、過去最高の役員報酬です。当局の考え方がバブルであって、企業は常に右肩上がりで、役員報酬もうなぎ上りであるという前提ですね。では、景気が悪くなって下げた、当然役員退職金は過去の実績に対して支払われるものですから、過去最高の役員報酬で計算して良い、ということになりますね。でなければ、役員報酬が高い時の退職と、低いときの退職金は金額が異なることになります。おかしな話です。

在任年数はまさに、功績年数です。

功績倍率=退職金÷(役員報酬×在任年数) です。これも、功績から発していますね。つまり、役員退職金の計算は、役員在任中の功績計算になるわけです。そしてこれら要素は、退職金が妥当であるかどうか、他社との比較計算のためにある、と言い切れます。

このように考えますと整理が出来たと思います。そもそも退職金とは何のために支払うのか、ということです。

特に考えて戴きたいのは、中小零細企業の場合です。社長夫婦が自社株の100%保有しているケースです。その会社の場合、この社長が多過ぎる退職金をもらって、誰が迷惑するでしょうか?株主が訴えますか?

さらには法人契約の生命保険で1億円の保険金が支払われたとします。法人にも個人にも借金はありません、仕入債務もキチンと払っています。ただ税理士が、「退職金の損金算入限度額は5千万円」だと言うでしょうが、現金があれば1億円の退職金もらって良いと思いませんか?

損金算入限度額超過の5千万円、これが損金算入出来ませんから、36%の法人税等がかかりますので、約1,800万円ですね。この税金支払財源さえ確保しておけば問題ないですね。あるいはこの税金を引いた、8,200万円を退職金にすれば、法人の資金繰りも心配ないですね。

3.役員退職金はいくら支払えば良い?

先ほども書きましたが、幾らでも結構です。支払えるだけ支払って頂ければ結構です。そもそも役員退職金は、長年経営に携わってきた功労に対して報いるものですから、損金算入限度額を基準に役員退職金を考えるべきではありません。

さらに、残念ながら役員在任中に亡くなられて「死亡に伴う退職」となれば、残されたご家族への保障という側面も出てきますから、なおさら損金算入限度額で退職金額を計算すべきではありません。

なお、死亡に伴う退職時に支給する「弔意金」も同様で、損金に認められる金額を支給するのではなく、上記死亡退職金と合わせて、家族が必要な金額を支払うという事が前提になるでしょう。

ですから、役員退職金額を決めるのは税理士でも税務署でも保険営業パーソンでもありません。社長ご自身が決めるのです!役員退職金支給額と役員退職金損金算入限度額は一切関係がありません。この点を間違えている税理士や保険営業パーソン・経営コンサルタントが非常に多いので注意してください。

役員退職金規定

役員退職金規程がないと、支払った退職金は損金にならないか?と言うとそうではありません。大事なことは、退職金を支払う必然性です。

保険会社などが用意する退職金規程には

「計算方法 最終役員報酬×在任年数×功績倍率」なんて規定がありますが理解に苦しみますね。

退職金規程は、法人税法退職金損金算入限度額の解説でしょうか?その会社の役員の評価規定でなければならないはずです。社長を含む役員のモチベーションが上がる様な退職金規程を作るべきです。損金算入限度額の計算は、全く次元の違うテーマである事を忘れないで下さい。

みなし退職

多くの誤ったアドバイスの中に「退職金は2度もらえます」という考え方があります。しかし、そんなに簡単なものではありません。

法人税基本通達9-2-32(役員の分掌変更等の場合の退職給与)

法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。(昭54年直法2-31「四」、平19年課法2-3「二十二」、平23年課法2-17「十八」により改正)

(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。

(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと。

(3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。

(注) 本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。

「その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合」、これが問題です。しかし、現実的には「例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど」から「給与が激減(おおむね50%以上の減少)」が一人歩きしています。実際の税務調査はかなり厳しいです。

・代表者印の管理
・指揮系統の変更
・社長室の利用

等により、本当に「退職同様」になったのか?の実態を必ずチェックされます。

ただし何度も書いていますが、役員退職金支給と役員退職金の損金算入とは何の関係もありませんから、役員退職金を何度支給しても構いません。ただ税務上損金として算入出来ない可能性が高いだけの事ですから・・・

4.役員退職金の準備方法

では決めた役員退職金額をどのように準備すれば良いのでしょうか?最適な金融商品は「生命保険」です。

生命保険を活用すれば、一定のルールに従って支払い保険料を損金に計上する事が出来ます。生命保険ですから、もし万が一の事態が発生した場合には保険金が支払われますので、その保険金を死亡退職金+弔意金として支給すれば良い事になります。

さらに生命保険の商品によっては、途中で解約した際に多額の返戻金が受け取れるタイプのものもありますので、解約時に返戻金があるタイプを活用すれば、「生存時」も「死亡時」も退職金を受け取る事が出来ますので、退職金準備には最適な金融商品と言えるでしょう。

退職金の計算は、在任年数比例方式です。従業員の退職金についても、「給料の後払い的」性格があります。つまり、退職金とは長期間の経費です。社員あるいは役員が、その会社に籍がある期間、平準化してその損金を負担すべき性格が、会計的にはあるわけです。そのようにしておかないと毎年の正しい損益計算が出来ません。もしくは退職年度に多額の退職金を全額負担しなければなりません。法人税法上は、退職金の分割計上を認めていません。

そのために生命保険は、退職金の毎事業年度において損金算入する、損益計算平準化のための代替商品なのです。その際に大事なことは

・支払保険料の全部または一部が損金になること、そのことによって退職金支給時の損金負担が減ること
・死亡退職金に備えられること
・勇退退職金の財源が出来ること

この3点を兼ね備えた生命保険は役員退職金の準備には最適と言えるでしょう。

弔意金について

法人が役員の死亡による退職時に、遺族に対して支払う弔慰金については相続税基本通達に規定があります。被相続人の死亡によって受ける弔慰金や花輪代、葬祭料などについては、通常相続税の対象になることはありません。しかしながら、

1. 被相続人の雇用主などから弔慰金などの名目で受け取った金銭などのうち、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分は相続税の対象になります。

2. 上記1以外の部分については、次に掲げる金額を弔慰金等に相当する金額とし、その金額を超える部分に相当する金額は退職手当金等として相続税の対象となります。

(1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき:被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額

(2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき:被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額

(注)普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます。

(相法3、相基通3-18~20)

これは相続税法上の規定であって、法人税法上の規定ではありません。法人税法上は原則、弔慰金は退職金に合算され、損金算入限度額の計算がされるでしょう。しかも、本通達の1行目、「通常」と言う表現に注意です。

中小零細企業の経営者のほとんどが、社長個人が法人に金を貸しています。会社からみると「社長からの借入金」です。これは、社長が法人から受け取った役員報酬等から貸したものです。つまり、課税済みの手取金額から貸しているわけです。逆に、会社から社長個人が借りているケースもあります。これは返済しなければなりません。これらの点を考慮して、退職金額を決める必要があります。

生命保険活用時の注意点

特に死亡時に受取る保険金は、その契約で計上されている資産計上額と受取保険金額との差額が「雑収入」として課税対象になります。

さらに役員退職金を損金で参入出来る限度額を超えて支給する場合には、雑収入額のすべてを損金に充当出来ない可能性があります。そのために法人税の納税が必要になるケースが考えられます。

ですから、生命保険を活用する場合には、法人税納税分を考慮した保険金額で設定をする必要がありますので、ご注意下さい。

まとめ

長年経営をしてこられた経営者・役員に対する慰労金である「役員退職金」は出来るだけ多く受け取って欲しいと思います。経営に対する功労を税務署や税理士が決める事に違和感を感じます。

1社でも多くの法人において、社長が欲しい分だけ、法人が支払える分だけ、役員退職金として支給し、スムーズに次世代へ経営をバトンタッチしてもらいたいものです。

文責
井上得四郎(NPO法人全日本保険FP協会 理事長・税理士)

校正
奥田雅也(NPO法人全日本保険FP協会 副理事長)

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