実効税率のウソは法人生命保険を検討する前に知っておくべき

2016年7月28日
法人保険
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実効税率

法人生命保険を検討する際、保険設計書には「実質返戻率」を計算するために「実効税率」が設定されています。

聞いたことがあっても、実際にどのようなものかご存じない方も多いのではないでしょうか。

今回は「実効税率のウソ」について詳しく解説を行います。しっかりと理解をして法人生命保険加入の参考にしてください。

なお「実質返戻率」については、「法人生命保険の注意点!『実質返戻率』のウソ!」もご覧ください。

1. 実効税率とは?

そもそも実効税率とは何でしょうか?実効税率とは、法人の実質的な税負担率のことをいい、法人で課税される各種税金のうち、事業税の損金算入の影響を考慮した上で法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計したものとなります。

法人税率とは

資本金1億円以下の中小法人に適用される法人税率は下表の通りです。

法人所得800万円以下 15.00%
法人所得800万円超 23.40%

この法人税以外に法人事業税・法人住民税・地方法人特別税が掛かります。

 

なお法人税率の推移は以下の通りです
法人税率の推移
<出典:財務省

この表の通り、法人税率は引き下げの傾向にあり、現在においては「法人減税・個人増税」の流れにあります。

2. 法人の実効税率は高くない?

法人生命保険の設計書には「法人実効税率30%にて試算」という文言がありますが、本当に法人の実効税率は30%もあるのでしょうか?

本当に正しい税額計算は税理士にしか行えませんので、ここでは一般的な法人実効税率を表にまとめてみました。

法人所得額 法人税額 法人実効税率
100万円 21.42万円 21.42%
200万円 42.84万円 21.42%
300万円 64.26万円 21.42%
400万円 85.68万円 21.42%
500万円 108.92万円 21.78%
600万円 132.15万円 22.02%
700万円 155.36万円 22.19%
800万円 178.58万円 22.32%
900万円 212.72万円 23.64%
1,000万円 246.78万円 24.68%
1,500 万円 416.57万円 27.77%
2,000万円 585.96万円 29.30%
2,500万円 755.19万円 30.21%
3,000万円 924.35万円 30.81%
5,000万円 1,600.65万円 32.01%
1億円 3,290.86万円 32.91%

※上記表はあくまでも概算であり、計算結果は実際のものと異なります
※平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます
※資本金1億円以下の法人に適用される税率です
※地方法人税は東京都の値を用いています
※地方法人税の均等割は考慮していません
※法人事業税の超過税率は考慮しておりません

この表を見ていただくと概算の税額と実効税率がお分かり頂けると思います。

一般的に言われている「実効税率30%」は法人所得が2,500万円超の法人に適用される税率になります。

法人実効税率の仕組み

前述の表の通り、法人税率は所得額が「800万円以下」と「800万円超」で異なります。さらに法人事業税は所得額「400万円以下」「400万円〜800万円」「800万円超」でそれぞれ税率が異なります。

簡単にいれば、800万円超の部分だけ税率が異なりますので、800万円超の部分が多くなればなるほど実効税率は上がるということです。

法人所得1,000万円なら実効税率は約25%です。

3. 法人生命保険設計書のウソ

法人生命保険の設計書に記載されている「実質返戻率」と「実効税率」は今までの説明で正しい効果を表していない事がご理解頂けると思います。

整理をしますと、

  • 政策によって法人税率は変動する
  • 法人実効税率は法人所得額で変動する
  • そもそも実質返戻率は資産計上部分の税負担を考慮していない

という3点により正確な効果を表していません。

法人生命保険設計書を見るポイント

法人生命保険の設計書は正確な効果を表していません。ですので「幾ら払って幾ら返ってくるのか?」という「単純返戻率」だけを見れば十分です。

なお保険営業パーソンならびに税理士・会計事務所職員の多くが間違えた概念を持っていますので、「実質返戻率」を説明して効果をアピールする人は「間違った知識を持っている」と認識をして信用しない事をオススメします。

4. 法人生命保険の正しい検討の仕方

生命保険ですから、まずは「幾らの保障を幾らの保険料で確保するのか?」という事が大前提です。

そして次に加入する生命保険の保険料を法人で支払った場合に、支払った保険料のうち幾らが損金になるのか?幾らが資産計上になるのか?を確認して下さい。

そして3点目に「幾ら払って解約(満期)になると幾ら戻ってくるのか?」という単純な返戻率に注目してください。

最後は、自社の法人所得額の見込みから「実効税率」が幾らなのか?を確認してメリットがあるかどうかを検討します。

全額損金計上できる生命保険の罠

最近、各保険会社が競って発売をしている「支払保険料の全額を損金に計上できる」生命保険は全額損金だからといって安易に契約することなく慎重に検討して下さい。

前述の表の通り、法人所得1,000万円で約25%の実効税率ですから、全額損金の場合には75%以上の返戻率を確保して初めてプラスになります。

ですが、手元現金は支払保険料分流出してしまうことと、解約時に赤字でなければメリットが取れない事、さらには資金を固定してしまうリスクを考えれば果たして本当にメリットがあるのかどうか疑問です。

法人によってはメリットがあるのは事実なので否定はしませんが、「全損だから良い」という理由で法人所得が1,500万円に満たない法人で全額損金計上が出来る生命保険を契約することに懐疑的です。

まとめ

  • 法人の実効税率はそれほど高くないので、過度な法人での節税は禁物です。
  • 特に法人所得800万円以下の段階で、生命保険を使った節税はあまりメリットがなく、キャッシュフローを痛める原因になります。
  • 税理士や会計事務所職員は税のプロですが、保険のプロではありません。保険のプロは税金のプロではありませんので、「誰に相談するか?」は非常に重要な要素の一つです。
  • ただ使い方によってはメリットがあるのも事実なので、検討は慎重にして下さい。

著者


奥田雅也(NPO法人全日本保険FP協会 副理事長)

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