法人で養老保険に加入するなら絶対に知っておくべきポイント

2015年4月2日
法人保険
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法人にて契約する養老保険。メリットを聞いて加入しようと思いつつも、複雑そうであったり、気をつけるべきポイントがあるのかいまいちわからなかったりして、加入できないでいる方も多いのではないでしょうか。この保険は税務面で注意すべきポイントが数多くある商品ですが、上手く活用するとメリットが大きいので、しっかりと理解して正しい知識を持って加入できるようになりましょう。

1. 養老保険とは生命保険のひとつ

そもそも養老保険とは、保険契約が終わっても、被保険者(保険の対象者)が亡くなってもあらかじめ定めた保険金を受け取る事が出来る生命保険商品のことです。

保険期間が終わる満期時に受け取る事が出来る保険金は、払い込んだ保険料総額に近い金額(保険会社や商品・保険期間・被保険者の年齢等により異なります)が支払われるために、金利が高かった昔は貯蓄目的としてよく活用された生命保険商品です。

積立の保険商品ですので、途中で解約した場合についても、支払った保険料よりは少なくなる場合が多いですが、一定割合でお金を受け取る事が出来ます。

この養老保険は、死亡した際に支払われる「死亡保険金」と保険が満期になった際に支払われる「満期保険金」があるために保険を契約する時には、それぞれの「保険金受取人」を設定する必要があります。特に法人で契約する養老保険については、この「死亡保険金受取人」と「満期保険金受取人」をどのように設定するかで支払保険料の経理処理が異なりますので注意が必要です。

2. 養老保険を法人で契約する

法人で契約した養老保険について、保険料支払時の経理処理は法人税基本通達にて定められています。この通達文は非常にややこしいのでわかりやすく図解をしますと、以下の通りになります。

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン1 役員等 法人 法人 全額資産計上
パターン2 役員等 被保険者の親族 被保険者 全額給与計上
パターン3 役員・従業員 被保険者の親族 法人 1/2資産計上
1/2支払保険料計上
パターン4 一部の役員・従業員 被保険者の親族 法人 1/2資産計上
1/2給与計上
パターン5 役員等 法人 被保険者

※契約者はすべて法人です。

図表を見て頂くとお分かりの通り、パターン1から4までは支払保険料の経理処理が法人税基本通達で明確に定められています。特にパターン3は、支払保険料の半分を損金計上が出来るために「ハーフタックスプラン」と呼ばれており、法人での養老保険活用方法としては比較的多くの法人で導入されているプランの一つです。

なおパターン5については、法人税基本通達では明記されていないパターンになります。内容は、パターン3のプランと死亡保険金受取人と満期保険金受取人を逆にしたプランであるために一般的には「逆ハーフタックス(逆養老・リバース)プラン」(ここでは逆ハーフタックスプランと呼びます)と呼ばれている契約形態ですが、現時点(平成27年2月時点)では支払保険料に関して明確なルールはありません。

※参照 法人税基本通達9−3−4
<法人税基本通達9−3−4(養老保険に係る保険料)>
法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、9-3-6に定める定期付養老保険を含まない。以下9-3-7までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第135条《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》の規定の適用があるものを除く。以下9-3-4において同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭55年直法2-15「十三」により追加、昭59年直法2-3「五」、平15年課法2-7「二十四」により改正)
(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下9-3-5までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下9-3-4において同じ。)の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、保険事故の発生又は保険契約の解除若しくは失効により当該保険契約が終了する時までは資産に計上するものとする。
(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は(1)により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

3. 各パターンのメリットとデメリット・注意点について

前述の各パターンにつきまして、法人で契約する事のメリット・デメリット・注意点を詳細に解説します。ご興味のあるパターンだけをピックアップして読んで貰えば結構です。

3-1. パターン1

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン1 役員等 法人 法人 全額資産計上

・メリット
法人で資金積立を行いながら被保険者の保障を確保する事が出来ます。支払保険料が掛捨てにならない点がメリットです。

・デメリット
支払った保険料を全額「保険積立金」という勘定科目で資産計上を行います。このため支払保険料は法人税等の納税後に内部留保した資金にて支払う形になりますので、キャッシュフローを悪化させる要因になります。

なお養老保険は死亡時も満期時も同額を受け取る事が出来る貯蓄性の生命保険商品ですので、死亡保険金に対する支払保険料は高額になります。

・注意点
この契約形態を検討される場合には、法人の資金繰りに及ぼす影響について十分注意をしなければなりません。

3-2. パターン2

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン2 役員等 被保険者の親族 被保険者 全額給与計上

・メリット
支払保険料を給与にする事で法人としては損金計上が出来ます。(役員を対象にする場合は注意点を参照して下さい)あとは、被保険者が直接保険料を負担する事なく保障が確保出来る点もメリットとして考えられます。

・デメリット
支払保険料は給与として損金計上を行いますので、法人は利益が減ることにより法人税負担が減少するメリットがあります。しかし個人では支払保険料と同額分が所得として加算されますので、所得税・住民税の負担が発生します。さらに社会保険料の負担も発生する事になりますので、労使ともに負担が重くなります。なお死亡保険金額に対して支払保険料が高額になるのは養老保険共通の問題点です。

この形式では、実質的には全額個人で保険料を負担する事になります。では、この契約を解約した場合には、その解約返戻金は誰に属するのか、法人なのか個人なのか、どこにも明記されておりません。

・注意点
この契約形態の場合、一番注意しなければならないのは、役員を対象にした場合です。この契約形態では給与の扱いとなりますが、役員報酬として法人が損金計上をするには法人税法34条の「役員給与の損金不算入規定」に注意をしなければなりません。

<Point>
法人税法34条では、下記に該当しない役員給与は損金算入が出来ないと規定されています。

・定期同額給与(毎月決まった金額を支給している役員給与)
・事前確定届出給与(事前に税務署へ届出をした通りに支給した役員給与)
・利益連動型給与(非同族会社の使用人兼務役員に対して支給する業績連動給与)

これに該当しなければ、役員報酬としての損金算入が出来ません。なお詳細な解説は割愛しますが、法人税法34条においては、「過大な役員給与」も損金算入が出来ないと規定されている点は注意が必要です。

参照 第三十四条(役員給与の損金不算入)
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及び第五十四条第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権によるもの並びにこれら以外のもので使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの並びに第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一  その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号において「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(次号において「定期同額給与」という。)

二  その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいう。次号において同じ。)を除くものとし、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給するものに限る。)以外の給与にあっては政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしている場合における当該給与に限る。)

三  同族会社に該当しない内国法人がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する利益連動給与で次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限る。)
イ その算定方法が、当該事業年度の利益に関する指標(金融商品取引法第二十四条第一項 (有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書((3)において「有価証券報告書」という。)に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。
(1) 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2) 政令で定める日までに、報酬委員会(会社法第四百四条第三項 (委員会の権限等)の報酬委員会をいい、当該内国法人の業務執行役員又は当該業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員になっているものを除く。)が決定をしていることその他これに準ずる適正な手続として政令で定める手続を経ていること。
(3) その内容が、(2)の決定又は手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。
ロ その他政令で定める要件

2  内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
<以下省略>

3-3. パターン3

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン3 役員・従業員 被保険者の親族 法人 1/2資産計上
1/2支払保険料計上

・メリット
支払保険料の半分(死亡保険金を構成する保険料相当額)を損金計上出来るために、利益額が減少することで法人税負担が減少します。さらには役員・従業員に対して万が一の際に保険金がその遺族に支払われるために、福利厚生制度として保障を充実させることが出来るのと同時に、保険による積立が発生出来ます。ハーフタックスプランと呼ばれている養老保険の活用法です。

・デメリット
保険の対象を役員・従業員にするために、対象者に対して保険を掛けることの説明をした上で、対象者から署名・捺印を取り付けるのと同時に健康状態に関する診査を行う必要があります。少人数の中小零細企業であれば手続きは簡単ですが、支店や営業所が全国にある場合などは、かなり手続きが煩雑になります。

・注意点
対象者を役員・従業員にするのですが、この選定はかなり注意が必要です。役員・従業員を対象にする「福利厚生」が目的ですから、一部の役員や従業員だけを対象にしている場合には、支払保険料の損金が否認されるケースもあります。

具体的には全従業員の過半数以上が対象になっている必要があり、この選定は「入社一定年数を経過した社員」や「一定役職以上の社員」といった客観的判断が必要になります。決して「好き嫌い」などのあやふやな判断基準で対象にするしないを決めてはいけません。この客観的な判断基準で選定した対象者が過半数以上になるように設定をする必要があります。

実際に過半数以上が対象になっていないケースで、保険料の半分を「支払保険料」とした処理が税務調査において否認された事例も多くありますので、注意が必要です。

3-4. パターン4

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン4 一部の役員・従業員 被保険者の親族 法人 1/2資産計上
1/2給与計上

・メリット
福利厚生として一部の役員や社員に対して保障を提供することが出来ます。

・デメリット
保険料の半分は「支払保険料」としての損金計上が出来ずに、役員・従業員に対する「給与」「賞与」として処理をすることになります。従業員であれば損金に計上が出来るので法人から見れば法人税負担が減少するメリットはありますが、従業員は所得税・住民税の負担が発生する点がデメリットであると言えます。

・注意点
パターン2と同じく、役員を対象にした場合には法人税34条の規定に合致させる必要があり、これに該当しなければ法人が負担した保険料の半分を役員報酬として損金計上することが出来ません。

3-5. パターン5

被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 支払保険料の経理処理
パターン5 役員等 法人 被保険者

・メリット
いわゆる逆ハーフタックス(逆養老・リバース)プランと呼ばれているスキームで法人税の軽減効果が大きいプランと言われています。逆ハーフタックスプランについての詳細解説は次章にて解説を行います。

4. 養老保険の逆ハーフタックス(逆養老・リバース)プランについて

このプランは、前述の説明の通り「死亡保険受取人=法人」「満期保険金受取人=個人」とするプランです。

<保険料支払時の税務処理>
法人が負担したこのスキームの保険料については、税務上の明確なルールは存在していません。ただ払込保険料の1/2を「支払保険料」として損金計上し、残り1/2を満期保険金受取人の負担として処理をするとされています。この満期保険金受取人の負担分については、「満期保険金受取人に対する給与・貸付金・借入金の返済」のいずれかで処理をすることになります。

実際に、平成24年1月13日に最高裁判所にて出された判決においても、上記処理を前提にしておりますので、この処理が一般的な処理方法として認知されています。

<満期保険金受取時の税務処理>
満期保険金は満期保険金受取人である個人が受け取ることになります。この際に受取人個人に対して一時所得として課税されることになります。この一時所得課税の計算方法については、平成23年の税制改正により明文化されました。

【平成23年改正内容】
居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を法令に規定します。
(注)上記の改正は、平成 23 年6月30日以後に支払われるべき生命保険契約等に基づく一時金について適用します。

つまり、個人が受け取った満期保険金から一時所得の計算上控除が出来るのは、保険料の1/2相当額の「満期保険金受取人が負担した金額」のみであり、法人が損金計上した1/2相当額は控除できないので、所得税課税がされます。

<途中解約時の税務処理>
途中解約した際の税務処理についても当然ながら明確なルールはありません。ですが、一般的には解約金は満期保険金受取人が受け取る権利があるために法人での税務処理は不要(仮受金処理)と考えられます。

最高裁判決文を踏まえますと、保険料の1/2は満期保険金受取のための原資であり、満期保険金受取人が負担をしており、残り1/2は死亡保険金受取のための原資であり、死亡保険金受取人が負担をしているという解釈が可能です。

【平成24年1月13日最高裁判決文の抜粋】
本件支払保険料は,本件各契約の契約者である本件会社等から生命保険会社に対して支払われたものであるが,そのうち2分の1に相当する本件貸付金経理部分については,本件会社等において被上告人らに対する貸付金として経理処理がされる一方で,その余の本件保険料経理部分については,本件会社等において保険料として損金経理がされている。これらの経理処理は,本件各契約において,本件支払保険料のうち2分の1の部分が被上告人らが支払を受けるべき満期保険金の原資となり,その余の部分が本件会社等が支払を受けるべき死亡保険金の原資となるとの前提でされたものと解され,被上告人らの経営する本件会社等においてこのような経理処理が現にされていた以上,本件各契約においてこれと異なる原資の割合が前提とされていたとは解し難い。そして,前者の原資として支払われた部分については,被上告人らが本件会社等にこれに相当する額を返済すべきものとする趣旨で,被上告人らに対する貸付金として経理処理がされる一方で,後者の原資として支払われた部分については,その支払により当該部分に対応する利益である死亡保険金につき本件会社等が支払を受ける関係にあったから,保険料として損金経理がされたものと解される。そうすると,前者の部分(本件貸付金経理部分)については,被上告人らが本件会社等からの貸付金を原資として当該部分に相当する保険料を支払った場合と異なるところがなく,被上告人らにおいて当該部分に相当する保険料を自ら負担して支出したものといえるのに対し,後者の部分(本件保険料経理部分)についてはこのように解すべき事情があるとはいえず,当該部分についてまで被上告人らが保険料を自ら負担して支出したものとはいえない。

実際に養老保険の解約返戻金は、死亡保険金のための危険保険料はほとんど含まれておらず、ほぼ全額が満期保険金のための積立保険料であることから考えますと、解約返戻金を法人が受け取るのではなくて保険料を負担した満期保険金受取人が受け取るべきであると考えられます。

<払済時の処理>
逆ハーフタックスプランは養老保険を使っていますので、途中の払済処理をした場合の経理処理については、法人税基本通達9−3−7(2)に沿って処理をする必要があります。

この規定によりますと、養老保険の払済については「何も処理しない」「解約返戻金相当額を益金に計上をする処理」の両方が考えられます。払済をしたのちに満期を迎えた場合、満期保険金受取人である個人が受取を行いますので、「何も処理しない」場合には、法人での経理処理は発生しません。ただし「解約返戻金相当額を益金に計上」した場合には、同額の保険積立金勘定が残っていますから、満期保険金が個人に支払われた段階で法人は全額を取り崩して損金に計上することになります。

【参考】(払済保険へ変更した場合)9-3-7の2
法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9-3-7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。(平14年課法2-1「二十一」により追加)
(注)
1 養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、9-3-4から9-3-6までの例により処理するものとする。
3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する事業年度の益金の額に算入する。

<本プランのメリット>
本プランの最大のメリットは、役員報酬で保険料相当額を支払った場合には、全額が所得税+住民税の対象となりますが、本プランを使えば満期保険金の1/2部分相当額に対して1/2の課税で済む点です。

満期保険金を受け取る際に満期保険金相当額の1/2は一時所得に該当しますが、一時所得の特別控除後の金額に対して1/2だけが課税されることになります。

さらに法人においては、保険料の1/2を「支払保険料」として損金に計上することが出来ます。さらに残りの1/2は満期保険金受取人が負担をしていますので、「給与」「貸付金」「借入金」として処理をします。「給与」として処理をする場合には、前述の法人税法34条のルールに則れば法人においては損金計上が出来るだめ、総額が法人においては損金で処理が出来ることになります。

なお「貸付金」「借入金」の処理を行った場合には、法人においては保険料の半分しか損金計上が出来ませんが、半分は損金に計上出来るメリットがあります。

法人で契約する多くの生命保険は、保険料支払時には損金に計上することで税額を減らす効果がありますが、解約時には益金課税されるために「課税の繰り延べ」でしかありません。ところが本プランを使えば、法人においては満期時・解約時に益金課税がされないだけでなく、個人においては税負担を軽減して満期金・解約金を受け取ることが出来るのが最大のポイントではないでしょうか?

<本プランのデメリット>
最大のデメリットは、明確な税務ルールが存在しておらず、平成24年1月13日の最高裁判決のみが税務の拠り所になっている点です。さらには本プランの税務を熟知している税理士・保険営業パーソンが少ないために誤った理解や誤った処理がなされている点が散見されています。

本プランをご検討される場合には、保険税務に強い税理士や保険営業パーソンにご相談をされることをオススメいたします。

5. 実際の活用事例

実際に養老保険を法人でどのように活用しているのか?という事例を幾つかご紹介します。

法人において多く活用されている養老保険の活用法は、パターン③の「ハーフタックスプラン」とパターン⑤の「逆ハーフタックスプラン」です。

まずパターン③の「ハーフタックスプラン」は、従業員に死亡保障を付ける「福利厚生」の目的と、支払保険料の半分を損金にする「課税の繰延効果」を狙って活用されています。なお多くの場合、積み立てられた資金は従業員等の退職金の一部に充当する目的で資金の積み立てを行っています。

これにより、死亡保障を確保する「福利厚生」と支払保険料の半分を損金計上する「税効果」と、「従業員退職金の確保」の3つを同時に実現する事が出来るために、導入をしている企業は多くあります。

次にパターン⑤の逆ハーフタックスプランの活用事例です。

中小企業経営者の多くは自らの個人資金を法人に貸付をして資金繰りを回しています。この経営者からの借入金は返済のめどが立たない債務です。ところが経営者側から見た場合、貸付債権となり相続発生時には相続財産に含まれる事になります。

そのために無理のない範囲で計画的に返済をしておく必要があるので、この「逆ハーフタックスプラン」を活用し、支払保険料の1/2を経営者からの借入金返済に充当して返済をしているケースがあります。この場合、もし経営者に万が一の事が発生した場合には、死亡保険金は法人に入りますので、その死亡保険金を原資にして経営者からの借入金を返済する事が可能になります。

あとは、中小企業経営者は企業を安定的に存続させるために個人資金を持っていなければなりません。上記の様にいざという時に投入出来るだけの個人資金を持っていなければ、資金ショートにより企業が倒産に追い込まれる可能性もあります。

そのため、個人資産形成をする必要があるのですが、役員報酬を引き上げてしまうと、所得税負担が大きくなってしまうために、逆ハーフタックスプランを活用して効率的に個人へ資金移転を行う事が出来ます。

満期時には法人で損金計上した支払保険料総額の1/2相当額が、一時所得として課税されますが、一時所得は以下の計算式で計算されます。

《総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)》×1/2=一時所得の金額

最後に1/2が出来る点が大きなポイントになります。通常、役員報酬で支払った場合には額面が課税対象額となりますが、一時所得の場合には1/2に減らす事が出来るために、効率的に個人資産を形成する事が可能になります。

6. まとめ

・養老保険の法人契約は、「被保険者」と「死亡保険金受取人」・「満期保険金受取人」の設定によって支払い保険料の経理処理が複雑に変化します。
・「死亡保険金受取人=被保険者の遺族」「満期受取人=法人」とするハーフタックスプラン(プラン3)においては支払保険料の半分を損金計上出来る要件を満たしておく必要があります。
・「死亡保険金受取人=法人」「満期受取人=被保険者」とする逆ハーフタックス(逆養老・リバース)プランについては、税務上のルールが明確にされていないので、将来的に取扱方法が変わる可能性があります。

著者


 奥田雅也(NPO法人全日本保険FP協会 副理事長)

監修:井上得四郎(税理士 NPO法人全日本保険FP協会理事長)

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