中退共(中小企業退職金共済制度)のメリット・デメリット

2015年11月5日
法人保険
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中小企業で従業員退職金の積立制度として中退共(中小企業退職金共済制度)が人気と聞いたことがあるものの、実際にはどのような制度かご存じない方も多いのではないでしょうか。今回は、利用の仕方から利用する際のメリット・デメリット・気をつけるべき点はどのような点なのかご説明いたします。

 1. 中退共とはどのような制度か?

中退共(中小企業退職金共済制度)とはどのような制度なのでしょうか?制度の概要を共済機構の資料より抜粋します。

中小企業退職金共済制度(略称:中退共制度)は、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度です。中小・零細企業において単独では退職金制度をもつことが困難である実情を考慮して、中小企業者の相互扶助の精神と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては中小企業の振興と発展に寄与することを目的としています。

この制度の運営は、独立行政法人勤労者退職金共済機構(機構)中小企業退職金共済事業本部(中退共)が当たっています。

中小企業に勤める従業員向けの退職金制度として、非常に手軽にかつ確実に積み立てが出来る制度として人気のある制度の一つです。

平成27年8月末時点では、約36万社・330万人が加入している制度です。

中退共の特長としては、掛金の全額が損金として計上出来る事と、国の助成制度がある点です。

1-1. 加入条件

加入出来る企業はいわゆる「中小企業」に該当する企業ですが、詳細な条件は業種等によって異なります。

中退共パンフレットより抜粋

■ 一般業種(製造・建設等)
→常時雇用する従業員数300名以下または資本金(出資金)3億円以下

■ 卸売業
→常時雇用する従業員数100名以下または資本金(出資金)1億円以下

■ サービス業
→常時雇用する従業員数100名以下または資本金(出資金)5千万円以下

■ 小売業
→常時雇用する従業員数50名以下または資本金(出資金)5千万円以下

なお、常時雇用する従業員とは、1週間の所定労働時間が同じ企業に雇用されている通常の従業員とおおむね同等であるものであって、「雇用期間の定めのないもの」や「雇用期間が2ヶ月を超えて雇用されているもの」を含みます。

加入対象となる従業員は、原則的には全員加入が条件ですが、下記の条件に該当する従業員は加入させなくても良いとされています。

  • 期間を定めて雇用されている従業員
  • 試用期間中の従業員
  • 休職期間中の従業員
  • 定年等により短期間内に退職する事が明らかな従業員

加入後、従業員の増加等により、中小企業でなくなった場合、「従業員の同意」と「確定給付企業年金制度・特定退職金共済制度を実施した旨の申出」を行うなど、一定の要件を備えていれば、確定給付企業年金制度・特定退職金共済制度に引き継ぐことができます。

1-2. 加入出来ない例

事業主や小規模企業共済に加入している人は中退共に加入する事は出来ません。

さらに法人の役員も加入出来ませんが、役員でも「使用人兼務役員」として、従業員として賃金の支払いが行われている場合には加入する事が出来ます。

さらには建設業・清酒製造業・林業などにある退職金共済制度を利用している場合には、重複して加入する事が出来ません。あとは、加入条件でご紹介した規模以上の企業も中退共に加入する事は出来ません。

1-3. 加入のメリットは?

中退共の加入メリットは、掛金の全額が損金に計上出来ることと加入後2年を経過すれば、掛金と同額以上の積立が出来ている点にあります。

さらには新規加入時と途中増額時には、国から一定金額が助成されます。なお自治体によっては独自に掛金補助を行っている自治体もあります。(平成27年3月時点で3県・195市・2区・65町・14村・1地区)詳しくは中退共のホームページまたは地方自治体にお問い合わせ下さい。

1-4. 加入のデメリットは?

中退共のデメリットは、積み立てられている資金を事業主側で活用することが出来ないという点です。事業主の口座より掛金が引き落としになった瞬間に、その資金は従業員のものになりますので、途中解約時には従業員へ支払われることになります。

さらには、問題を起こした従業員や解雇した従業員に対しても必ず退職金が支払われることになり、事業主側でコントロールをすることが一切出来ない制度です。

以前は積み立てられている資金を原資にして、借り入れをすることが出来ましたが、その制度が廃止になったために、積み立てられている資金を運転資金等に活用することが出来ません。

なお掛金の増額は簡単に出来ますが、減額については従業員の同意または厚生労働大臣の認定が必要となりますので、掛金の設定は無理のない金額にしておくことが重要です。

2. 申し込み方法

申し込みは銀行などの金融機関にて行えます。

ゆうちょ銀行・農協・漁協・ネット銀行・外資系銀行以外の金融機関または商工会議所などの機構が業務を委託している団体に行けば、申し込み手続きを行うことが出来ます。

申し込み書類は上記機関でも貰えますが、中退共ホームページより請求することも可能です。

3. 解約方法

何らかの理由により中退共による退職金積立を止める場合には、途中解約となります。ただし途中解約が出来るのは、従業員の同意が得られたときまたは掛金納付の継続が困難であると厚生労働大臣が認めたときにかぎりできることになっています。

なお解約金の全額は従業員に支払われることになり、事業主は受け取ることが出来ません。解約金を従業員が受け取った場合には、解約手当金は、税法上「一時所得」として取り扱われ、その年中に得たほかの一時所得と合算し、その額から50万円(特別控除額)を減じた残額が課税の対象とされます。(掛金は全額事業主負担ですので、差し引く額はありません。)

まとめ

国の制度として助成が受けられたり、掛金の全額が損金になること・24ヶ月以上掛金を負担すれば、全額が支払われるなど非常に良い制度の様に思われますが、掛金を支払った時点でその資金は事業主側でコントロールすることが出来ません。

そのために過大な掛金負担は経営上リスクを背負うことになりますし、退職金制度の全額を中退共で賄うことは決してオススメ出来ません。退職金積立の一部として中退共を活用することはメリットがありますので、他の退職金積立制度と上手に併用することが活用のポイントになるでしょう。

著者


奥田雅也(NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 理事)

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