経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)徹底活用術

2015年4月13日
法人保険
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経営セーフティー共済(旧倒産防止共済)は、最強の税金対策ツールです。生命保険を活用した税金対策を検討する前に必ずチェックしてください!

1. 経営セーフティー共済(旧倒産防止共済)とは

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営をしている共済制度で、取引先の倒産等により売掛金が回収出来ない場合に一定割合で融資が受けられる制度です。最大の特徴は掛金の全額を損金として計上が出来て、一定期間を経過した後に解約をした場合には、掛金の全額が戻って来る制度です。

1-1. 加入できる条件は?

1年以上、事業を行っている事業主で法人事業・個人事業は問いません。なお「中小企業」に該当することが条件なので、下記に該当する事業主が対象となります。

業種 資本金の額
または
出資の総額
常時使用する
従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業
(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ
製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。)
3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

(独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページより)

1-2. 加入が出来ない条件は?

上記1−1に該当をしたとしても、下記に該当する事業主は経営セーフティー共済に加入する事が出来ません。

・住所または主たる事業の変更を繰り返し行ったため、継続的な取引の状況の把握が困難な方
・事業に係る経理内容が不明の方
・すでに貸付けを受けた共済金または一時貸付金の償還を怠っている方
・中小機構から返還請求を受けた共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金の返還を怠っている方
・納付すべき所得税または法人税を滞納している方
・12ヶ月分以上掛金の納付を怠ったため、または偽りその他不正の行為等のため、中小機構によって共済契約を解除され、解除された日から1年を経過していない方
・偽りその他不正の行為により共済金もしくは一時貸付金の貸付け、または早期償還手当金もしくは解約手当金の支給を受け、または受けようとした日から1年を経過していない方
・現に共済契約者となっている方(重複加入はできません)
(独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページより抜粋)

1-3. 融資の条件

加入後6ヶ月が経過したのちに取引先の倒産等により、売掛金などの回収ができない場合に、共済金から融資を受ける事が出来ます。

融資が受けられる金額は、払い込んだ掛金の10倍に相当する金額か、もしくは実際に回収が出来ないと見込まれる金額のいずれか低いほうが適用されます。

なお融資を受けた金額の返済については、6ヶ月間は据え置きとなりその後に、返済期間が5年の場合は54ヶ月、6年の場合は66ヶ月、7年の場合は78ヶ月に対して分割で毎月返済する事になります。原則として無利子で融資を受けることが出来ますが、返済期日までに共済金の返済がないと、年14.6%の違約金が課せられますので注意が必要です。

融資が受けられない場合は以下の通りです。

•取引先事業者の倒産が、加入後6ヶ月未満に生じたものであるとき
•加入から取引先事業者の倒産日までに、6ヶ月分以上の掛金を納付していないとき
•共済金の貸付請求が、取引先事業者の倒産日から6ヶ月を経過した後になされたものであるとき
•共済金の貸付請求の時に共済契約者が中小企業者でないとき
•貸し付けることとなる共済金の額が少額であって、次の1また2のいずれの額にも達しないとき
1.50万円(共済契約締結時の掛金月額が5,000円であり、かつ共済契約が効力を生じた日から共済金の貸付請求の日までの期間が6ヶ月以上10ヶ月未満である共済契約者にあっては、5,000円に掛金の納付をすべきであった月数を乗じて得た額の10倍に相当する額)
2.共済契約者の月間の総取引額の20%に相当する額
•共済金の貸付請求をした共済契約者に倒産または倒産に準ずる事態が生じているとき
•共済契約者がすでに貸付けを受けた共済金の償還を怠っているとき
•倒産した取引先事業者に対し、売掛金債権等を有することとなったこと、またはその回収が困難となったことにつき、共済契約者に悪意または重大な過失があったとき
•上記のほか、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引額、代金の支払方法などが確認できないとき
(独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページより抜粋)

1-4. 掛金の払込方法

掛金は月額5,000円から20万円の間であれば5,000円単位で自由に設定が出来ます。なお途中の増額は可能ですが、減額については一定の要件を満たす必要があります。

<減額が出来る条件>
•共済契約者の事業規模が縮小されたとき
•事業経営の著しい悪化、病気またはけが、急な費用の支出などにより、掛金の納付を継続することが著しく困難であるとき
•共済金の貸付残高と掛金総額の10倍に相当する額との合計額が、8,000万円に達しているとき

払込は月払いが基本ですが、個別に申請をすれば一定期間分の掛金を前納することも可能です。前納が出来る期間は自由に設定が出来ますが、1年分を前納した場合には翌年度もまた前納の申請を行う必要があります。
※掛金の前納を行った場合には、所定の割引が適用されますので、払込み額は「月額掛金×前納月数」よりは少し安くなります。

2. 加入のメリット・デメリット

最大のメリットは掛金を「経費化」出来ることであり、最大のデメリットは「返済をしなければならない」ということです。

2-1. 加入のメリット

法人でも個人事業でも負担をした掛金の全額を「経費」にすることが出来ます。ただし掛金の上限は800万円ですので、際限無く経費が作れる訳ではありません。あと注意すべき点としては、掛金の前納を行った場合です。1年分の掛金を前納した場合には問題はないのでしょうが、1年超(13ヶ月)分を超えて掛金を支払った場合には、1年を超える部分については払い込んだ事業年度において経費に参入することは税務上、問題があると言えるでしょう。

2-2. 途中解約の返戻金にメリットあり!

この共済は途中で解約した場合、加入期間に応じて掛金の一定割合が戻って来ます。なお解約をする際の理由によって適用される率が異なりますので注意が必要です。

(1)任意解約
共済契約者がいつでも行うことができる解約です。

(2)みなし解約
個人事業主が亡くなった、法人(会社など)を解散した、法人を分割(その事業のすべてを承継)した場合など、その時点で解約されたものとみなされます。ただし、共済契約の承継が行われたときは解約にはなりません。

(3)機構解約
12ヶ月分以上掛金の払込みが滞った場合に、中小機構が行う解約です。また、不正行為により共済金の貸付けなどを受けようとしたときも、機構解約となります。

なおそれぞれの解約に対して適用される戻り率は以下の表になります。

掛金納付月数 任意解約 みなし解約 機構解約
1ヶ月~11ヶ月 0% 0% 0%
12ヶ月~23ヶ月 80% 85% 75%
24ヶ月~29ヶ月 85% 90% 80%
30ヶ月~35ヶ月 90% 95% 85%
36ヶ月~39ヶ月 95% 100% 90%
40ヶ月以上 100% 100% 95%

ここで注目すべきは、契約者の意志として任意解約をする場合、加入後40ヶ月が経過していれば、掛金の全額が返金されます。すなわち掛金の全額を損金に計上が出来て、一定期間を経過すれば全額返金されるので「100%損金・100%返戻」が最大の特徴です。

2-3. 加入のデメリット

経営セーフティー共済の最大のデメリットは、共済金は貸付を受けるので返済をしなければならないという点です。

似たような仕組みとしては、損害保険会社が取り扱う「取引信用保険」がありますが、こちらは支払われた保険金は返済しなくて良いお金であるのに対して経営セーフティー共済の場合には返済義務が生じます。

2-4. 取引信用保険との比較

この取引信用保険は、取引先の倒産等により回収が出来ない場合には、保険契約時に定めた金額の範囲内で保険金が支払われます。

ただし取引信用保険の場合も掛金は全額経費に計上出来ますが、保険期間1年の掛捨てですから満期になっても戻って来るお金はありません。それに対して経営セーフティー共済は40ヶ月以上継続している場合で解約すれば、全額が戻ってきますからこの点は大きな違いと言えるでしょう。

3. 生命保険との比較

経営セーフティー共済は非常に効果的な課税繰延手法です。では同じように課税繰延効果が得られる生命保険と比べてどちらが良いのでしょうか?

3-1. 節税ではありません!

経営セーフティー共済も生命保険も「節税」ではないと言うことをまずは理解して下さい。

なぜ節税ではないのか?と言いますと、「節税」とは納付する税額が少なくなることで税負担が軽減されることを言います。ただ経営セーフティー共済も生命保険も掛金や保険料を支払った際には、経費に参入することが出来ますから、確かに税額が少なくなるという側面があります。

しかし経営セーフティー共済も生命保険も、途中で解約したり、生命保険であれば満期を迎えたり保険金を受け取った際には、受け取った金額については課税の対象となります。

そのために経営セーフティー共済も生命保険も、「節税」ではなく課税対象となる時期を先送りするだけなので「課税の繰延」と言われるゆえんです。

3-2. どちらにメリットがある?

経営セーフティー共済と生命保険、そもそもの機能が異なりますから本来であれば単純に比較をすべきものではないと思います。しかしながら、掛金・保険料が損金に計上出来た上に資金の積立が可能であるという機能だけで比較をした場合、どちらにメリットがあるのか?をあえて検討してみたいと思います。

3-3. 圧倒的に経営セーフティー共済です

結論としては、生命保険を活用した課税の繰延よりも経営セーフティー共済のほうが圧倒的に課税の繰延としてはメリットがあります。

その理由をご説明します。

まず現時点(2015年4月)において、保険料の全額が経費になる生命保険商品は幾つかあります。ですが、保険料全額を経費に計上が出来たとしても、途中で解約したり満期を迎えた際に掛金に対してどのくらい戻ってくるか?という「返戻率」で重要なポイントです。

生命保険において最近、よく活用されている「生活障害保障定期保険」は、支払保険料が高額なために経費計上が出来る金額は多くなりますが、50歳男性を被保険者にした場合には10年目に解約をしても、掛金累計の75%程度しか戻ってきません。

これに対して経営セーフティー共済であれば、加入後40ヶ月以上が経過していれば、途中解約時には掛金の全額100%が戻ってきますので、圧倒的に効果が高いと言えるでしょう。

ただし経営セーフティー共済の場合には、1年間に経費として計上出来る金額が240万円という上限がある事と、掛金の合計は800万円までという上限がありますので、多く経費を作りたいという方にとっては、生命保険の方が保険料は高額に出来る利点があります。

4. 経理処理について注意しておきたいポイント

前述の通り、経営セーフティー共済は「節税」ではなく「課税の繰延」である点は要注意です。
掛金の全額が経費に計上出来る代わりに、解約時には返戻金の全額を益金として計上する必要があります。

4-1. 掛金支払時の経理処理について

掛金を支払った際の経理処理は以下の通りになります。

<仕訳例>

借方 貸方
共済掛金◯◯◯◯円 普通預金◯◯◯◯円

4-2. 解約時の経理処理について

解約時に返戻金を受け取った際の経理処理は以下の通りになります。

<仕訳例>

借方 貸方
普通預金◯◯◯◯円 雑収入◯◯◯◯円

 

まとめ

・経営セーフティー共済は、取引先の売掛金が回収出来ない場合における緊急的な資金繰り対策としてだけでなく、掛金の全額を経費に計上出来るというメリットが得られます。
・さらには40ヶ月以上経過していれば、途中解約時には全額が戻ってきますので、非常に効果が高い商品と言えるでしょう。
・法人だけでなく個人事業主も活用ができますので、生命保険を活用した決算対策を検討するまえに加入が出来る場合には是非とも検討したい商品です。

著者


奥田雅也(NPO法人全日本保険FP協会 副理事長)

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